
言葉は文化だといわれます。時代時代に使われている言葉の意味も違ってきます。それは生活様式や環境が違ってくるからです。逆に歴史的に積み重ねられてきた言葉に対する概念は、文化として日本人の根底に培われています。たとえば言霊信仰などです。日本人は、汚い言葉を使うのを嫌う傾向にあります。いわゆる穢れというものです。だから婉曲的にものごとを言ったり、人間関係のなかでも方言でも敬語でもはっきりものを言わないことがよくあります。これはいわゆる日本の文化です。しかし、戦争に負け、欧米のように言葉に対する考え方の違いから言霊信仰を排除し、言葉は道具や武器であるという考え方(これも一種の信仰でもあります)が一般的になり、今の日本人の考え方を根底から変えていきました。これが20世紀から21世紀を生きる日本人の宙ぶらりんな状態(言葉や道徳観)です。
日本人としての文化や伝統をなんとなく意識できている昭和生まれの私たちが、なんとなく違和感を持つのは当然ですね。しかし、言葉は文化だというからには、時代には逆らえないものがあります。だからゆれているのです。さまざまなことをいわれ、混乱するのも当然です。こういった雑多な考え方をもっているからこそ、なんとなくいまいち国語に一歩踏み入れる気がしなかったというのも、真実です。